平成26年度福島県小児科医会総会声明

第49回福島県小児科医会総会にて採択

「福島の子どもたちの未来を守るために
-あらためて震災/原発事故後の子育て支援を求める」

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故による原子力災害は、事故後3年以上を経過してもなお福島県民の生活に多大な被害・損害をもたらし続けております。なかでも避難区域とされ、いまなおふるさとを離れた生活を余儀なくされている子どもたちの生活・健康上の不安やストレスの大きさは日を追って増しているものと考えられます。また避難区域以外の県内各地域においてもこの事故は子どもたちのこころ、からだ、生活に大きな影響を及ぼしており、将来の子どもたちのゆくすえも懸念されます。

 私たち小児科医会は震災/事故以降、子どもたちの健康を守るために微力ながら会員一同一丸となってさまざまな努力を続けてきました。しかしながら私たち小児科医にできる活動は限られており、真に子どもたちの未来を守るためには、当県の子育て支援をいかに進めていくかという極めて重要な、かつ実現に困難を伴う課題に立ち向かう作業を進める必要を実感しております。今回震災/事故後3年を経過した現在、あらためて今後を展望しながら小児科医会としての声明を出すことに致しました。つきましては子どもたちの未来を守るという立場に関係するすべての皆様方に当医会の声明内容につきご理解いただくとともに、今後の更なるご支援ご協力をお願いしたいと存じます。

私たち小児科医会は福島の子どもたちの健康を守る立場からのみならず、震災/事故後の復興を見据えた長期的な子育て支援という観点から、平成25年度に引き続き今回の声明を発するとともに、より速やかな具体策の実施を求め以下の点につき関係諸機関に要望いたします。

  1. 子どもたちにとって安全・安心な環境を可及的速やかに取り戻し、事故以前に勝る子どもたちが育ちやすい環境整備を図ること
    1)速やかな除染を図り、安全・安心な環境を整備する
    2)子どもたちの心身の健康を育み体力の向上を図るため、安心して遊び、運動・活動ができる施設をさらに建設・設置し、その運用についても十分な配慮を行うことにより、不安なく子どもが成長できる環境を保障する
  2. 子どもたちを生み育てる若い世代への包括的子育て支援策の実現を
    1)若い世代に対してはいわゆる子育て支援策のみならず生活全般についての支援をより強化する
    2)若い世代の人口流出を防止し少子化に歯止めをかけるべく、若い世代が住みやすい環境を実現すること
    3)子どもたちの保育への直接的支援のみならず、若い世代への就労支援、男女共助支援策などを講じ、子どもを育てやすい環境を整える
    4)少子化への直接的対策としての不妊治療費助成策などを講じる
  3. 福島県のすべての子どもたちの健康を守るための小児医療・保健施策の実現
    1)ロタワクチン、B型肝炎ワクチン、おたふくかぜワクチン、インフルエンザワクチンなどのすべての任意予防接種の公費助成による無料化を
    2)小児救急医療体制の整備、周産期医療体制の充実
    3)子どもたちへ最高レベルの医療が提供できるよう、また医療格差、医師偏在を解消する方策として、また復興のシンボルとして、県内に「総合小児医療センターの設置」を望む
  4. 子どもたちへの健康被害(その可能性も含む)への対応
    1)放射線被曝の健康に与える影響あるいは可能性についての調査およびその情報公開を行うこと。またその結果についての迅速な対応を行うこと
    2)被災、避難等(被曝への不安も含む)にともなうこころのケア提供体制の充実
    3)甲状腺スクリーニング調査について
     i.県民健康調査による甲状腺スクリーニングの実施状況およびその結果についての詳細な情報公開、
     ii.受診者への結果についての十分な説明、
     iii.有所見者、要医療者についてはセカンドオピニオンの提供も含む十分な説明と同意に基づく医療提供を行なうこと
     iv.要医療者、要経過観察者についてはこころのケアも含むフォロー体制の構築と将来にわたる医療費の無料化を
  5. 将来にわたっての子どもたちの健康管理の推進
    震災/事故によって惹起された、あるいは惹起される可能性のある心身の健康障害については疫学的調査を含め緻密な健康管理を行っていくことと共に、その対策については速やかにおこなうこと

上記のうち3.1)、3.3)は前回声明に引き続き重点要望項目、4.3)は今回追加重点要望目

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