本年4月より太神和廣会長の後任として福島県小児科医会の会長に就任いたしました竹内でございます。
略歴と会長就任にあたっての抱負を掲載させていただきます。
私は昭和54年3月に福島県立医科大学を卒業し同年5月に同大小児科学講座に入局いたしました。在局中は主に新生児医療に従事しておりました。平成5年に福島市内で小児科医院を開業して、今に至っております。平成22年4月より福島市医師会の理事(学校保健委員会、および母子保健委員会の委員長)もつとめさせていただいております。
福島県小児科医会は昭和54年の秋に創設されております。私も入会いたしましたが、会員というだけで特に医会の活動には参加しておりませんでした。平成5年の秋に第20回東北・北海道小児科医会連合会総会が福島市で開催されました時に、会長の菊池直恵先生に声をかけていただいて運営のお手伝いをさせていただきました。その後、菊地先生の後任の小林真弓先生、平田慶肇先生、渡邊信雄先生、太神和廣先生のご指導のもと、事務局や広報などを担当してまいりました。
これまでの福島県小児科医会の活動として特記すべきこととしては、予防接種の全県広域化と乳幼児の医療費助成の現物給付化です。
予防接種の広域化とは、住所がどこにあっても県内の医療機関であればどこでも予防接種がうけられるというシステムです。郡部では小児科医が少ないために予防接種を集団で実施することが多く、体調が悪いために思うようにうけられず不完全な接種になってしまうことが多かったため、居住地による格差をなくそうというものです。福島県では医会の活動により比較的早い時期に実現しました。
乳幼児の医療費助成については、以前は診療後一旦医療機関において自己負担分(約3割)を支払い、その後自治体に請求するというシステムでした。3割といってもお子さんが3人位いて、しかも一月に何回も受診すると結構な金額となり、給与の少ない若い保護者には負担になっておりました。これを、窓口での支払いをなくして助成費は医療機関から直接自治体に請求するというシステムに変えたのです。これにより、お子さんの具合が悪くなった時、医療費の支払いを気にせず受診できるようになりました。窓口支払い無料化ついては、時間外のいわゆる「コンビニ受診」を助長するものという批判もありますが、こどもが医療を受ける機会が経済的な問題で妨げられるという、いわば経済的な格差をなくすという意味では意義があると思っております。
それ以外の活動としては、平成23年に起きた東日本大震災の被災地として全国の小児科の先生方から寄せていただいた支援金の有効活用として、前会長の太神先生のもと、予防接種啓発のリーフレットを作成し、この6年間毎年県内全ての産科・小児科医療機関や保健センター等に配布し、ワクチン接種率向上に多少なりとも貢献できたことと、被災地から避難しているお子さんたちを対象に、期間限定ではありますが無料でロタワクチン接種事業を行ったことです。
今回、会長就任にあたって会員の先生方に訴えたのは会の活動の活性化です。
これまでにも講演会などは毎年開催していますが、対外的な活動に目を向けると、まだまだ決して活発とはいえないと思っております。
今年になり、会員の先生から、小児の食物アレルギー対策をすすめるために小児科医会が中心になって全県的な組織をたちあげたいとの提案がありましたが、このような活動こそ医会がおこなうべきことと考えております。発達障がい児の診療や小児在宅医療の実態調査や支援などについても、医会が今後積極的にかかわっていくべきではないかと思っております。いずれもすぐに解決できる問題ではありませんが、私の任期中に少しでも進展できればと考えております。